2026-06-27 読了時間 約9分

Clash Verge Rev、FlClash、Clash Nyanpasu 徹底比較

システム対応、内核、UI、リソース消費などの観点から Clash Verge Rev、FlClash、Clash Nyanpasu などの主要クライアントを比較し、プラットフォーム別の選び方を解説します。

比較の前提:内核は共通、差はその外側にある

2023年11月、旧 Clash 内核のリポジトリがアーカイブされ、Clash for Windows など従来のクライアントは配布が終了しました。以降も活発にメンテナンスされているGUIクライアントは、ほぼすべてmihomo 内核(旧 Clash Meta)へ移行しています。Clash Verge Rev、FlClash、Clash Nyanpasu はその中でも最も導入数が多い3本です。

内核が同じであれば、プロトコル対応も同じです。Shadowsocks、VMess、VLESS、Trojan、Hysteria2、TUIC、WireGuard などの対応範囲は mihomo 側で決まり、外側の UI とは無関係です。この点において3本は同等です。

実際の違いは次の4点に集約されます。対応 OS、UI の実装技術、設定支援機能の充実度、リソース消費のレベルです。本稿ではこの4点のみを比較し、プラットフォームやシーンごとに結論を出します。

NOTEプロトコルが使えるかどうかは内核バージョンで決まり、UI の使いやすさはクライアントの外側部分で決まります。この2つは分けて評価してください。

Clash Verge Rev:デスクトップ版の機能上限

Clash Verge Rev は、アーカイブ済みの Clash Verge を引き継いだコミュニティ版で、GPL-3.0 ライセンスです。アーキテクチャは Tauri で、UI は OS 標準の WebView 上で動作し(Windows は WebView2、macOS は WebKit)、下層のロジックは Rust で書かれています。完全なブラウザ内核をインストーラーに含まないため、Electron 系より容量・常駐メモリともに小さいのが一般的です。

対応プラットフォームは Windows、macOS(Intel と Apple Silicon 用に別々にビルド)、Linux(DEB / RPM)。システムプロキシ、TUN モード、サブスクリプション管理、ルールとログの確認、コネクション管理、内核のオンライン更新まで一連の機能を網羅しています。

設定支援機能の強さが強みです。Merge(マージ処理)により、元のサブスクリプションを変更せずにルールやポリシーグループを上書きできます。グローバル拡張スクリプトは JavaScript で設定をプログラム的に加工できます。どちらもサブスクリプション更新後も保持されるため、独自ルールを長期的にメンテナンスしたいユーザーに向いています。

結論:デスクトップ版で最も機能が充実している1本。Windows・macOS のメイン機での既定の選択肢。

FlClash:PC とAndroidで同一の UI

FlClash は Flutter ベースで、単一のコードベースから Windows、macOS、Linux、Android の4プラットフォーム分のパッケージを生成し、Material デザインの UI を採用しています。

核心的な価値はマルチプラットフォームでの操作統一です。PC と Android スマホでの画面構成、設定項目の位置、操作フローはほぼ同一で、デバイスを変えても学習コストがかかりません。内核は mihomo で、プロトコル対応は Clash Verge Rev と同等です。Android 側は VpnService でトラフィックを引き受け、デスクトップ側はシステムプロキシと TUN モードに対応しています。

デスクトップ体験ではトレードオフがあります。レイアウトの密度やコントロールサイズがモバイル向けの発想に寄っているため、従来型デスクトップソフトに慣れたユーザーは慣れが必要です。Flutter デスクトップ版は独自のレンダリングエンジンを内包しており、メモリ使用量は中程度で、一般的に Tauri 系より高く Electron 系より低い水準です。

結論:PC と Android を両方使うユーザーは優先候補。デスクトップのみでコンパクトな UI を求めるなら、他の2本を先に検討。

Clash Nyanpasu:内核切替と深いカスタマイズ

Clash Nyanpasu は Clash Verge Rev と同じ Tauri アーキテクチャで、GPL-3.0 ライセンス、対応プラットフォームは Windows、macOS、Linux です。

差別化点は内核レイヤーにあります。mihomo に加え、Clash Premium と Clash Rust の内核選択肢を残しており、設定画面から切り替えて同一設定における内核ごとの挙動差を検証できます。日常利用では mihomo に固定すべきです。Clash Premium は更新が停止しており、プロトコル対応が旧バージョンのままです。

UI の完成度は高く、テーマ・配色・レイアウトのカスタマイズ項目が多く、インタラクションのアニメーションも豊富です。サブスクリプション管理、ルール確認、コネクションログ、TUN モード、システムプロキシなど基本機能も一通り揃っています。

その分、設定項目は多めです。初回設定では内核・テーマ・プロキシモードなど一連のスイッチを決める必要があり、初心者には Clash Verge Rev ほど直感的ではありません。

結論:見た目にこだわりがある、または内核を切り替えて互換性の問題を検証したい上級者向け。

主要スペック比較表

クライアント対応プラットフォーム内核UI 実装技術ライセンス向いているシーン
Clash Verge RevWindows / macOS / LinuxmihomoTauri + OS 標準 WebViewGPL-3.0デスクトップメイン、機能重視
FlClashWindows / macOS / Linux / AndroidmihomoFlutterGPL-3.0PC と Android で操作統一
Clash NyanpasuWindows / macOS / Linuxmihomo、Premium / Rust へ切替可Tauri + OS 標準 WebViewGPL-3.0テーマカスタマイズ、内核切替

3本以外の選択肢:macOS、Android、iOS

macOS の軽量な選択肢:ClashX Meta

mihomo 内核ベースの、macOS ネイティブなメニューバーアプリです。メニューバーの ON/OFF だけで十分で、フル機能のパネルが不要なユーザーに向いています。サブスクリプション強化や詳細ログが必要な場合は、やはり Clash Verge Rev を選んでください。

Android のもう一つの選択肢:ClashMetaForAndroid

本サイトのダウンロードページに掲載している Android クライアントで、mihomo ベース、UI はネイティブな Android の操作感に近い作りです。FlClash とはどちらか一方を選ぶ形になります。マルチプラットフォームでの統一感を重視するなら FlClash、ネイティブな操作感を重視するならこちらです。

iPhone と iPad:Clash Plus

iOS プラットフォームには上記3本のクライアントはありません。App Store から Clash Plus をインストールしてください。サブスクリプションの取り込みと初回接続の手順は利用ガイドを参照してください。

シーン別の直接選択

  1. Windows がメイン機で1本だけ入れるなら:Clash Verge Rev。
  2. PC と Android を両方使い、操作を統一したいなら:FlClash。
  3. macOS でメニューバーの ON/OFF だけでよいなら:ClashX Meta。フル機能が必要なら:Clash Verge Rev。
  4. テーマ変更や内核切替が必要なら:Clash Nyanpasu。
  5. Linux デスクトップ:Clash Verge Rev または FlClash、いずれも Linux 版パッケージを提供。
  6. iPhone / iPad:App Store から Clash Plus をインストール。

移行・併用時の注意点

サブスクリプションリンクは3本のクライアント間で共通なので、コピー&ペーストするだけで移行できます。YAML 設定内のプロキシ・ルール・ポリシーグループの構造も共通です。クライアント独自の拡張機能は共通ではありません。Clash Verge Rev の Merge や拡張スクリプト、Clash Nyanpasu の内核切替設定は、クライアントを変更すると作り直しが必要です。

3本のクライアントの既定の混合ポートは、いずれも 7890 が多く使われています。同時に起動するとポート競合が発生し、後から起動したクライアントのプロキシが効かなくなります。同時に稼働させるのは1本だけにしてください。

TUN モードはいずれのクライアントでも権限昇格が必要です。Windows はサービスモードのインストール、macOS はパスワード入力による許可が求められます。TUN とシステムプロキシはどちらか一方のみを使い、併用しないでください。TUN の仕組みについてはプロトコル解説、用語の定義は用語集を参照してください。

WARNプロキシが突然効かなくなった場合は、まずバックグラウンドでポートを占有している別のクライアントがないか確認してください。それからサブスクリプションや設定を疑ってください。

よくある質問

Q-01mihomo 内核は別途ダウンロードする必要がありますか?

不要です。3本のクライアントはいずれも内核を内蔵しており、設定画面から更新確認もできます。内核ファイルを手動で入れ替えるのは問題調査用の手段であり、通常の操作ではありません。

Q-02古い Clash for Windows の設定は移行できますか?

サブスクリプションリンクはそのままインポートできます。ローカルの YAML 内で mihomo がすでに廃止したフィールドは、新しい内核のドキュメントに従って調整が必要です。クライアントのログに認識できない行が表示されるので、その行を修正してください。

Q-033本すべて入れて使い分けるのは可能ですか?

可能ですが、あまり意味はありません。3本ともプロトコル対応は同じで、同時に動かすと既定のポートを取り合ってしまいます。1本をメインに決め、残りはアンインストールするか停止状態にしてください。

決まったら、ダウンロードページへ

ダウンロードページでは Windows、macOS、Linux、Android、iOS の5プラットフォーム別に各クライアントのバージョンとシステム要件を掲載しています。インストール後のサブスクリプション取り込みやモード選択は利用ガイドに従ってください。

Clash をダウンロード